基本的に我が家の三食はワタクシめが支度しておるのですが、

朝は、爺婆様はテーブル、我々息子夫婦はテレビの真ん前の座卓で食べます。

トースト、
卵料理(目玉焼きとかゆで卵とか時々プレーンオムレツ失敗したら炒り卵)に
トマトとブロッコリー(キュウリやアスパラになったりもする)を添え、
自家製ヨーグルトに紅茶で煮たプルーンを入れ、
コーヒーやらわかめスープ(インスタント)やら青汁やら、各人が好きなものを飲みます。

メインディッシュとヨーグルトは、ワタシが全員分セットしますが、起きて来る時間が多少ずれるので、爺婆様のトーストとコーヒー(インスタント)は婆様が担当していました。

爺婆様は食パン5枚切りを二人で一枚、半分に切ってトーストしています。
(6枚切りだと薄くて物足りないとかで、わざわざ5枚切りにカットしてくれる店で買ってます)
(うちら息子夫婦は6枚切りを1枚づつ、3日で食べ終わり)
(対して爺婆様は食べきるのに5日かかるので、冬以外は冷凍しないとカビだらけになりまふ)

が、このトーストの焼き具合の好みが夫婦で全く違ってて、婆様は焦がす寸前くらいまでカリッカリに焼くのが好きなのだけれど、爺様はうっすらと表面がキツネ色になるかならないかくらいが好きでして、

とすれば、最初自分の食パン半分をトーストし、オーブントースターを見張ってて、程よい焼き色になったところで爺様のパンを入れて焼けば良いんだけれど、

御年83の婆様には、そういう微調整は無理難題に等しく、いっつも自分好みの「失敗して焦がしたトースト」を平然と爺様に出して、「何でこんなに焦がすんだ」と責められると、「これくらい焼かないと美味しくない」と甚だ無理のある抗弁をしていました。

コーヒーだって、婆様は大ぶりのマグカップにたっぷり入れるけど、爺様は無印商品のティーカップに半分で充分で、それ以上入れると多すぎると文句を言われる。

同居して10年、トーストの焼き過ぎとコーヒーが多すぎると爺様が毎回ダメ出ししても、婆様は天然なのか、はたまた単に面倒くさいのか、世話焼き女房のようでいて、案外自分ありきで、爺様の要望に添うように調節するとか工夫するということは全然しない人だったので、

毎朝、同じセリフの応酬を聞きながら、息子夫婦は敢えて聞こえていない風を装い、(また始まった)(進歩がないな~)(何でだろうな~)と不思議に思っていたもんです。

ともあれ、その婆様が忽然と我が家から姿を消してしまったのですから(墨◯に緊急入院した訳ですけど)、先ずは爺様の朝飯を支度しなくっちゃいかん訳です。

いや~、結構緊張しますた。

今まではメインデッシュとヨーグルトをテーブルにセットしておけば、あとはトーストの焼き加減とコーヒーの分量で揉めてようが、婆様任せで、ダンナと並んでめざましテレビ見ながら朝食食べて、新聞読んだり折り込みチラシのチェックしてりゃ良かったのに、

自分達の朝食はとっくに用意出来ても、爺様がなかなか起きて来ないし、幾ら何でももう起こした方が良いだろうと和室の様子を見に行ったら、洗面所で歯磨きしてたので、なら、すぐ来るかなと思ったら、起き抜けは殊更動きが鈍く、足も思うように動かないので、伝わり歩きもコマ送りのようなぎこちなさで、

漸くリビングダイニングに入って来たので、速攻でトーストを爺様好みに薄いキツネ色程度に焼き、コーヒーもインスタントコーヒー小さじ半分に砂糖小さじ山盛り、少しのお湯で溶き、牛乳をカップ半分程度に入れてチンして温める。

薬用の湯呑みに水を入れ、100均で買った薬ケースに6種類の薬を用意。
(は~、これで完全爺様専属決定)

爺様「何だか、婆さんがいないと勝手が悪くて困るな…」

そのぼやきは家族全員の思いを代弁していたと言って良い。

婆様という人はこの家にとって、いわば扇の要ともいうべき人だったわけで、その肝心要が突然の病に倒れた今、我々は確かに危機を迎え、苦境に立たされたのだが、

不思議とワタシは冷静だった。
(いや、別に、これでワタシの天下になるとか思っちゃいませんけど)
(…ちょっとだけ思ったかも)

こんな時だからこそ、家族は一致団結して困難を乗り越えなくては。
神様は背負えるだけの苦難しか与えない。
泣いてもいい、動けなくなってもいい、逃げ出しさえしなければ、立ち向かおうとする気持ちさえ持ち続けられれば、どこからともなく助けの手が伸ばされ、あやめも分たぬ暗夜の向こうに白々と進むべき道が指し示されるものだから。

それは実父の闘病と死、ダンナの手術、自分の手術、昨年の爺様の入院騒動等々を経て、あまりにも多くの人から励まされ慰められ勇気づけられたワタシが身を以て知った、真理の一つ。

まだ最悪というわけじゃない。
落ち込んで泣いてる暇があるなら、頭を身体を動かさなければ。
こんなことで挫けてはいられない。

爺様が朝食を食べ始め、漸くワタシもすっかり冷めてしまった自分の朝食に取り掛かる。
(さすがにコーヒーはチンで温め直しました)

食後には爺様に目薬を点眼。
(これも、食後、和室に引き取ってからの婆様の仕事だったけど)
(この瞬間からワタシの仕事に決定)
(結構上手いすよ。1滴必中ですから)

先に朝食を食べ終わっていたダンナは、かなり思うところあるような様子で嫁の奮闘ぶりを見てたけど。

だいじょぶだ、Sんちゃん(ダンナ)。婆様がいなくても、この家にはPOTEがおる。伊達に10年同居して来たわけじゃない。爺様のことは任せておきなはれ。

でも朝食後、テーブルを立つ際、爺様が「美味かった、御馳走さん」とわざわざ言って和室に引き取って行く後ろ姿には込み上げるものが若干あった。

同居したばかりの頃は食事の度に言ってくれてたけど、最近はとんと省略されてたから。

やっぱり婆様の不在が応えてるんだろうなー。

息子夫婦は良くしてくれるけど、婆様がいないことで、俄に自分の立場の微妙さに気付いてしまったというか、
婆様には色々威張って言えてたことが、息子とその嫁相手ではそうもいかず、かなり困惑してる様子。

そんな爺様の心情に大いに同情するところはあるのだけれど、取り敢えず今は病院の婆様の容態が気にかかり(夜中、急変の電話掛かって来たらどうしようかと思った)、

その後、取る物も取り敢えず駆けつけてくれた義姉上に爺様を託し、ダンナの車で墨◯へ向かった。
POTE
Posted byPOTE

Comments 2

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山田あしゅら  
遅ればせながら・・・

てん末を今、一気に拝見いたしました。
(アメブロの更新情報がナゼだかストップしてまして…。
大変で更新どころじゃないんだと思ってました。)

毎日の凡々とした生活も1つ歯車が狂うとこんなにもモロいものなのか
そういうことは私も数度経験しています。
人の心も日常もそれほど強固なものではありません。
そんな中で徐々に軌道修正しながら人って強くなっていくものなのかも知れませんね。

しかし、POTE家はPOTEさんが居られてよかった。
ご主人も、お爺様、お婆様も同じ思いではないかと思います。
どうか、気張らず、焦らず、この局面を乗り切ってください。
よい結果をお祈りしています。

まさかの坂を這い上がり、
よもやの靄を抜けきって、

う~ん。深い言葉ですね。

2010/01/16 (Sat) 00:49 | EDIT | REPLY |   
POTE  
>山田あしゅらさま

なし崩しに川に落とされたヌーは、それでも何とか水を掻くすべを会得し、不器用ながら向こう岸目指して調子よく泳ぎ出していたのに、さっきまで長閑に流れていた川面は一転荒ぶる波涛と化し、大渦が呑み込もうと襲いかかって来ております。

が、
あきらめてたまるかああー!
の意気込みで、目の前の出来ることからやっていきますです。はい。

コメント有り難うございました。

2010/01/16 (Sat) 15:53 | EDIT | REPLY |   

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