何故、その時に気が付かないものなのか。

歯は全部自分の歯、足腰が疲れ易いとは言え、杖もつかず、毎日整体に通い、歌好き、テレビ好き、お喋り好きの婆様が、このところ妙に失し物をするようになり、

以前から、物(鍵・手袋・マフラー)を仕舞うと、その仕舞場所を忘れてしまって、その都度和室の物入れを捜し回っていた人だったけれど、

年寄りなんてものはそんなモノだくらいの危機意識しか持っていなかった。

このところ失すのは、大事にしていたお気に入りの指輪とか診察券とかSUICAカードといった、再発行に手数料がかかるとか、残額があった物だったりしたので、内心「大丈夫だろうか」と不安を覚えないでもなかったけれど、

大正15年生まれの83才。
お産以外には大きな病気一つしたことがない。

同世代の大正小町は歩行器に縋って歩くか、車椅子に乗っているか、病院か老健施設に入っている。

そんな婆様を支えていたのは、93才の爺様の存在で、とにかく爺様を見送ってからでないと、安心出来ないからとは常々言っていたし、去年の爺様の骨折入院以来、子供達(娘夫婦、息子夫婦)の誰もが、「まず爺様を無事送る」ことに腐心し、それ以外のことは二の次三の次に考えていた。

義姉一家の来訪と実家訪問を無事完遂し、これからが私達の正月休みだーいと、先ずは4日(月)六本木で映画、翌5日(火)は爺様は通所介護で夕方までお出掛けだし、婆様にお留守番お願いして、息子夫婦は銀座で焼肉ランチ♪と、久方ぶりのパン朝食を支度していたら、

「お早う」とリビングダイニングに入って来た婆様の動きが明らかに変。

POTE「お姑さん、腰痛いんですか?」
婆様「寝てる時は何でもなかったんだけどねえ、起きたらだんだん痛くなって来ちゃって」

洗顔と歯磨きは何とか出来たけれど、その時には相当痛みが増して来て、パジャマから洋服に着替えるのもやっとだったという。

この時点で、今日の銀座で焼肉は即中止。

動けるけれど動くと痛いというので、ぎっくり腰の類いではなさそうだけど、これ以上の無理は厳禁と、婆様の布団はPOTEが押し入れに仕舞い、朝食後はバンテリンを塗り、

10時に爺様が年明け初のデイサービスに出掛けた後、爺様の車椅子で、この日が年明け初診療日となる馴染みの整体へ直行(ダンナは留守番)。

POTE「覚えてますかあ、一年前はお爺ちゃんが腰痛くて動けなくて入院したんですよ」
婆様「あれから丁度一年ねえ」
POTE「今年はお姑さんが腰が痛いなんて」
婆様「年寄り二人抱えて、あんたも大変よねえ」
POTE「へっへっへぇ~(同居始めた時点で覚悟してましたけどね)」

幸い、整体院は他の患者さんはお一人しかいなかったので、院長に状況を説明し、すぐに低周波治療、院長自らマッサージしてくれ、腰の筋肉の部分断裂が認められるというので、包帯テーピングで腰をぐるぐる巻きされ、正月疲れじゃないですかねえ、結構多いんですよ、お風呂は入れるけれど、痛みが取れるのに数日掛かると思うので、明日もまた来て下さいと言われる。

商店街を抜けて帰路につきながら、婆様も連れてどっか車で食べに行こうかな~、でも、この腰じゃあ車の乗り降りもしんどいかな~。

POTE「お姑さん、お昼どうします?」
婆様「今日はお爺ちゃんもいないし、私はこたつでゆっくり食べたいから、あんたたちは出掛けていいわよ」
P「んじゃ、すぐ食べられるように、オリジ◯でお弁当でも買って行きましょう。何かリクエストありますか」
婆「ハンバーグ食べたい」

というわけで、ハンバーグ弁当を一つ買い、帰宅。

P「あんまり動き回っちゃダメですよ、帰ったら、POTEが片付けますからそのままにしておいてね」
婆「大丈夫よ、病気じゃないんだから。悪かったね。あんたたち、ホントは出掛ける予定あったんでしょう。私は今日はこたつでゴロゴロしてるから」

リビングで待ちわびた様子のダンナに、大丈夫そうだと伝えると、近所のラーメン屋に行こうと誘われたので、徒歩で出る。

ホントだったら銀座で焼肉ランチだったのにと、ダンナがいつまでもいじましく残念がるので、ニンニクたっぷり入れたとんこつラーメンに餃子プラスして、銀座はまたいつでも行けるし、焼肉屋もなくならないから大丈夫と慰めて帰宅。

P「ただいま~」
と、スニーカーを脱いで、和室の方を見ると、襖が開いてて、入口に婆様の水色のフリースが丸まって置いてある。

ん?暑くて脱いだ?

ところが、よく見ると、それはフリースだけじゃなく、中身も入ってた。

婆様が、横倒しに、倒れてる。

…ちょ…っ、待…っ、何…?

P「お…お姑さん?何でこんなところに転がってんです?」

慌てて抱き起こすと、右手をひらひら振ったので、ちょっと安心して、

P「大丈夫?転んじゃったの?何処か痛いですか?」

と、顔を覗き込むと、だらしなく開かれた口から涎がつーっと糸を引いて落ちた。

一気に体温が下がった。

まずい。
これは、普通じゃない。

それからのことは、流石のPOTEも、正直あまりよく覚えていないのだけれど、

とにかくダンナが119番通報し、
倒れている婆様をダンナと二人で抱え、爺様のベッドに運び、
入院に必要なバスタオル、フェイスタオル、スリッパ、テッシュ、下着、常用処方薬、保険証を手当たり次第、スポーツバッグに詰め、

救急隊が到着してからは、持病も何もない健康なお婆ちゃんだったと説明する。

かかりつけ医も近所の内科と眼科しかかかっていないので、救急隊の方で搬送先を捜してもらい、脳梗塞の疑い有りということで、都内最大級のER墨◯病院の受け入れが決定。

ダンナに家に残ってもらい、POTEが荷物を持って救急車に同乗。

一年前もそうだったように、正月気分もまだ抜けきらない午後、下町にサイレンをけたたましく鳴り響かせながら、救急車は走り出した。

続く。

POTE
Posted byPOTE

Comments 2

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まさひま  

POTEさま
つい先週のことなんですね。
お婆様の大変事、アップしていただいているので、小康状態かと
少し安堵いたしましたが、安心ではないでしょうから
お気をつけください。

2010/01/11 (Mon) 13:47 | EDIT | REPLY |   
POTE  
>まさひまさま

まだ一週間しか経っていないというのが、正直信じられません。
もー、あれやこれやで頭爆発寸前ですが、ブログで発散することでどうにか自分が保っていられるようです。
今後は泣き言愚痴罵詈雑言も噴出する気配ありありですが、お付き合い頂けましたら、助かります。

コメント有り難うございました(へろへろ~)

2010/01/12 (Tue) 19:40 | EDIT | REPLY |   

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