2016. 03. 17  
認知症の人がJR線の線路に立ち入って電車にはねられて死亡した事故について、JR側が遺族に対し損害金の支払いを求めていた裁判ですが、

3/1、最高裁は「家族側に(JRへの)損害賠償責任はない」とする判決を言い渡しました。

判決文では、認知症当事者の妻について、「同居する配偶者であるからといって、その者が民法714条1項にいう『責任無能力者を監督する法定の義務を負う 者』に当たるとすることはできない」としています。

つまり、認知症の人の徘徊によって生じた事故に関し、個別の事情を考慮する余地 は残されているものの、同居家族などが「必ず賠償責任を負わなければならない」とするものでないことが示されたわけで、

徘徊老人を抱えた介護家族にとってはひとまず安堵できる判決となりました。
(そりゃー、いつ道路に飛び出すか、線路に入り込むか分からない老親・施設入所者抱えてる家族・施設・病院にしてみれば戦々恐々だったすよ)
(だから、この判決にはワタシも心底安堵しましたし、
判決に対して何ら異論反論はございません)


とはいえ、徘徊老人が犯した事件事故がこの前例により今後一切合切家族の責任が免ぜられるかというと、そんなことはなく、あくまでこの判決は当該家族の事例に限ったことであり、個々の案件についてはその都度精査熟慮が必要なようですが、

先ずは、改めてこの事故を通し、在宅介護の在り方と世間一般の認識について考えてみたいと思います。

それというのも、

認知症のお爺さんが電車に轢かれた事件だということは皆さん理解なさっておられますが、中にはホームから飛び込んだように考えたり、電車の運転士は何故緊急停止しなかったかというような極めて噴飯ものの認識不足や、マスコミ報道まんまコピペみたいな断言も多かったので。
(結局、生半可な情報だけで語るからそうなるんだろうけど)

まずは
平成26年(受)第1434号,第1435号 損害賠償請求事件
平成28年3月1日 第三小法廷 判決


裁判ってこんな分かりにくい言葉ばっか使ってんのかー!?




法廷用語とか分かりにくい文言、不明箇所もあるので、一応ワタシなりに要約してみましたが、それでも長くて煩雑ですた。
おヒマな方だけ 続きから。

どぞ。





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先ず 家族構成は前述前文の通り

大正5年生まれの父、大正11年生まれの母、
hanketu3.png
子供は4人いて、上から女 男 女 女。
(前文では長子と末子の性別は不明でしたが、どうも娘3人らしい)

で、長女は早い段階(幼少時?)に養子縁組で他家?に出され、

実質的な家庭内家族は長男 次女 三女。

大正生まれで昭和20年に結婚した親の子供ですから、いずれも70~60代、子供といっても後期高齢者でもあるような人たちです。

父親は平成10年(82才)頃まで地元で不動産仲介業を営み、

唯一の男子である長男は昭和57年に家族とともに横浜に転居、

次女三女も独立、

最寄駅前に建つ、自宅玄関と事務所入口を備えた住まいには父と母の老夫婦だけが住んでいた。


平成12年冬頃、食事を済ませた後に「食事はまだか」と言いだしたり、昼夜の区別がつかなくなる。

この時点で、家族(妻や子供達)も父の認知症罹患を認識。

平成14年になると、晩酌したことを忘れ、延々飲酒を続けたり、就寝前に済ませた戸締りを忘れ、夜中に何度も戸締りを確認するようになった。

平成14年春、母と長男夫婦、次女は両親宅で顔を合わせた際、父(86)の今後について話し合い、母(80)も高齢で、一人で父の介護をするのは無理と判断、

介護職にあり、介護実務に精通している次女の意見を踏まえ、長男妻が横浜から単身両親宅の近隣に転居し、毎日通い、必要な場合は両親宅に泊まり込み、実質的な介護を担う。

長男は横浜に居住、東京に勤務しており、妻が両親宅近隣に転居してからは月に1~2回、事故直前の時期には月3回程度週末に実家を訪ね、妻から父の状態について頻繁に報告を受けていた。

その後、介護保険を利用すべきとの次女の意見を受けて、長男妻はかかりつけ医師に意見書を作成してもらい、

平成14年7月、父の要介護認定申請。同年8月要介護1認定。同年11月要介護2に変更。

同年8月に体調不良にて入院、以後認知症の悪化が加速。

同年10月、認知症専門医の診察を受け、毎月通院。

平成15年3月、父は平成14年10月の段階でアルツハイマー型認知症に罹患していたと担当医が診断。

当初は週1利用のデイサービスも、事故当時は週6回。

デイのない日は、長男妻が朝から父が就寝するまで介護を行い、就寝後は母が父を見守る。

平成15年頃には、妻を母親だと認識したり、子供がわからなくなる人物見当識障害もみられるようになり、
長男妻は父が外出したがるのを説得しても聞き入れられない為、外出に付き添うようになった。

平成16年2月 認知症専門医は父の認知症が重度に進んでいる旨診断した後、一定期間の通院後は元のかかりつけ医に引き継ぐ方針だった為、元の開業医担当に戻る。

平成17年8月早朝、父は母が気づかぬうちに一人で外出し行方不明になり、自宅から徒歩20分先のコンビニから連絡があり保護。

平成18年1月 左右下肢に麻痺拘縮あるもつかまれば起き上がり・歩行・立ち上がりは可能と判断され、要介護1に。

平成18年12月深夜、母が気づかぬうちに一人で外出しタクシーに乗車。認知症に気付いた運転手にコンビニで降ろされ、その店長からの通報で警察が保護、午前3時に帰宅。

以後、長男妻があらかじめ警察に連絡先等を伝えておくとともに、父の氏名、長男嫁のケータイ番号を記載した名札を父の服に縫い付け、

長男は母が気づきやすよう、自宅玄関にセンサー付きチャイムを設置。

長男夫婦は父が外出できないよう門扉に施錠したが、父が門扉を激しく揺するなどして危険であった為施錠は中止。

自宅と併設の事務所出入口は夜間は施錠されシャッターが降ろされていたが、日中は開放されており、事務所出入口にもセンサー付きチャイムが取り付けられていたが、事故当日まで電源は切られていた。

この頃には父はトイレの場所も分からず、所構わず排尿し、自分の妻や長男妻に何も告げず、事務所出入口から外に出て公道を通って自宅前の駐車スペースの排水溝に排尿することも多った。

平成19年2月 認知症はさらに悪化、要介護4に認定。

今後の父の生活について家族会議が開かれ、特養入所も検討されたが、次女が「特
別養護老人ホームに入所させると父の混乱は更に悪化する。父は家族の見守りがあれば自宅で過ごす能力を十分に保持している。特別養護老人ホームは入居希望者が非常に多いため入居までに少なくとも2,3年はかかる。」旨の意見を述べたこともあって,引き続き自宅で介護することに決めた。

この頃になると父は金銭にも興味を示さなくなり、生活に必要な日常の買い物は母と長男妻が行い、預金管理等の財産管理全般は長男が行っていた。

事故当時、長男妻は午前7時頃両親宅に行き、父を起こして着替えと食事をさせた後、デイに送り出し、デイ帰宅後20分程度父の報告に付き合い、父が居眠りを始めると父の部屋からキッチンに移動し食事の支度をするのが日課だった。

父は長男妻の促しで二日おき程度のペースで散歩し、夕食を摂り、入浴し、就寝、父の入眠を確認して長男妻は帰るようにしていた。

平成19年12月7日PM4:30頃、父(91)は夕方デイから帰宅し、事務所部分の椅子に腰掛け母(85)・長男妻と過ごしていた。

その後、長男妻は父が排尿した段ボール箱を片付ける為外に出て、父と母が二人きりで事務所部分に居た。

PM5:00頃、段ボールを片付けた長男妻が事務所部分に戻ってくると、母だけがまどろんで目を閉じて座っており、父の姿がなかった。

父は母が気づかぬうちに事務所部分から外に出て、目の前の最寄駅から列車に乗り、隣の駅で下車。

排尿の為、ホーム先端のフェンス扉を開け、線路に下りた。

同日、PM5:47頃、線路に列車が入線。事故発生。


東海道本線の上下列車合わせて20本に約2時間の遅れが発生した。
JRは、父の遺族(母と子4人)に対して事故により発生した振替輸送等の費用相当の719万7740円の損害賠償を求め、N地方裁判所に提訴。

平成13年8月の一審・N地裁判決は、父を見守ることを怠った母の過失のほか、長男にも監督義務があったと認め、JRの請求通り約720万円の支払いを2人に命じた。

一方、平成15年4月の二審・N高裁判決は、母の監督義務を認めた上で、賠償額については約360万円に減額した。
長男に対する請求は退けた。

一審N地裁、二審N高裁の判決に双方納得せず、互いに上告し、最高裁の判断を仰ぎ、冒頭の判決が下された。


とまあ、ざっと、これがこの事件のあらましです。
(ざっとなのか?これであらましなのか?って、そーなんですよ)

もー、どっから突っ込もうか迷っちゃうくらいなんで、これ当分続きます。
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うーん
何処から突っ込めば良いのやら、でも家族にしても亡くなった義父を放置した訳でも無いし
症状が悪化するなか出来うる限りの介護をしていた事は判ります

我が家の様に身体的に要介護度が高い方が早く施設に入れると行った時か状況が早く改善される事を切に願います

だってこの介護ってどう見たって限界越えてるよ?
他人だから言えるけど
うーん自宅介護は無理だよねこの状況って

やるせない
ええもう。
豆腐に突っ込むどぜうのごとく。

歩行可能な要介護者を抱える家族にとっては
胸をなでおろす判決ではありましたが
立場、見方で色んな意見が噴出しようかと。

POTEさんの鋭いつっこみを待ちます。
>ツンデレさま
最高裁判決の背景としての介護事情しか見えてこないので、些か情報が少ないんですが、分かっている内容だけでも、ずいぶん頑張っておられたと思います。

まあ、「誰が」ってところがポイントなんですけどね。

コメントありがとうございました。
>山田あしゅらさま
まあ、最高裁としてはこれだけ高齢者問題が深刻になりつつある時代に、企業側の言い分認めたら暴動もんでしょう(笑)

判決要旨や考察等読んでると、亡くなられた方やご家族も大変だったと思いますが、企業側にも同情したくなる箇所もありましたし。

とりあえず、あの判決は良かったと思います。
その他はまあ、色々と。

コメントありがとうございました。
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プロフィール

POTE

Author:POTE
家族:
ダンナ(じゃっく・仮名)
婆さま(ダンナ母・90才要介護3 脳梗塞で左麻痺の車椅子)
爺さま(ダンナ父・2012.9に95才で逝去 要介護4の車椅子)
子供なし
生来のずぼら・てけとー・スーダラ人間オニヨメにつき、こまめなレスや相互訪問を求められましても、お応えできぬ場合がしばしばございます。
基本きまぐれ更新、きまぐれコメレスの大雑把。
ここはそうゆうところなのね…と生温ーく受け入れて下さる方歓迎。

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