WINDING ROAD

在宅介護という名の過酷にして壮絶な終わりなき戦いの日々 自分の病気、ジツボとの関係 荒野に俺は一人だけ(笑)

いつか来る その日の為に

  1. 2018/04/19(木)
ミステリーの巨匠 松本清張「点と線」

その中で大変印象的だったのは作中の重要人物が寄稿した以下の一節でした。

「数字のある風景」という題で、下に「安田亮子」とあった。
ははあ、亮子という名前なのかと三原ははじめて知った。
彼はその奇妙な題の本文を読みはじめた。

長い間、寝たきりでいるといろいろな本が読みたくなる。
しかし、このごろの小説はみんなつまらなくなった。
三分の一まで読んだら興を失って閉じることが多い。
ある日、主人が帰って汽車の時刻表を忘れて行った。
退屈まぎれに手にとってみた。
寝たきりの私には旅行などとても縁のないものだが、意外にこれがおもしろかった。
下手な小説よりずっと面白い。

主人も、仕事の上で出張が多いから、時刻表 をよく買っている。
じっさいによく見なれているらしいが、それは実用からで、病床の私には非実用のおもしろさである。
時刻表には日本中の駅名がついているが、その一つ一つを読んでいると、その土地の風景までが私には想像されるのである。
それも地方線の方が空想を伸ばさせてくれる。
豊津、犀川、崎山、油須原、勾金、伊田、後藤寺、これは九州のある田舎の線の駅名である。
新庄、升形、津谷、古口、高屋、狩川、余目、これは東北のある支線である。

私は油須原という文字から南の樹林の茂った山峡の村を、余目という文字から灰色の空におおわれた荒涼たる東北の町を想像するのである。
私の目には、その村や町を囲んだ山のたたずまい、家なみの恰好、歩いている人まで浮ぶのである。
徒然草に「名を聞くより、やがて面影は推しはかるる心地するを」という文句があったことを覚えているが、私の心も同じである。
所在ないときは、時刻表のどこを開けても愉しくなった。
私は勝手に山陰や四国や北陸に遊んだ。
こんなことから、つぎに時間の世界に私の空想は発展した。

たとえば、私はふと自分の時計を見る。
午後一時三十六分である。
私は時刻表を繰り、十三時三十六分の数字のついた駅名を探す。
すると越後線の関屋という駅 に122列車が到着しているのである。
鹿児島本線の阿久根にも139列車が乗客を降ろしている。
飛騨宮田では815列車が着いている。
山陽線の藤生、信州 の飯田、常磐線の草野、奥羽本線の北能代、関西本線の王寺、みんな、それぞれ汽車がホームに静止している。
私がこうして床の上に自分の細い指を見ている一瞬の間に、全国のさまざまな土地で、汽車がいっせいに停っている。

そこにはたいそうな人が、それぞれの人生を追って降りたり乗ったりしている。
私は目を閉じて、その情景を想像する。
そのようなことから、この時刻には、各線のどの駅で汽車がすれ違っているかということまで発見するのだ。
たいへんに愉しい。

汽車の交差は時間的に必然だが、乗っている人びとの空間の行動の交差は偶然である。
私は、今の瞬間に、展がっているさまざまな土地の、行きずりの人生をはてしなく空想することができる。
他人の想像力でつくった小説よりも、自分のこの空想に、ずっと興味があった。
孤独な、夢の浮遊する愉しさである。
仮名のない文字と、数字の充満した時刻表は、このごろの私の、ちょっとした愛読書になっている



この安田夫人が事件でどのような役割を負っていたかは作品をお読み頂くとして、


病身で、実際には外出もままならない夫人が、それでも時刻表のページをめくるごとに、想像の翼を広げ、遠い地の風景やそこに生活する人々の様子に心を馳せているという愉しみ方は、


自活する能力も環境も持たず、親の強制的な管理に悩んでいた10代の頃、
それでもいつかここではない何処かへ行ける遠い日の希望だけを抱いていた鈍臭い少女にとって、

心は常に自由なのだ と、
今ではない、いつか来るその時の為に、調べ、準備することは決して無駄ではないのだと、

気付かせてくれた一節でありました。

それをきっかけに、時刻表の読み方も勉強し、
うちには時刻表がなく、購入することも許されなかったので、図書館で古い時刻表を借りたり、旧友の家で不要なポケット時刻表があると聞き譲って貰ったりしたので、旅行に行くわけでもないのに何やってると親にはバカにされましたが、乗り換えルートの検索方法の学習には大変役に立ちました。

作中の安田夫人の自説通り、特急の名前を知るのも、見知らぬ土地の地名の読み方を調べるのも楽しかったです。

今ならアクセス検索で「☆☆から※※」で一発だけどな(笑)


夢や想像は飢えや貧しさ、病気といった現実的な問題の解決にはなりませんが、

しかし、だからといって何の役にも立たないと切り捨てる方がよほど愚劣だと思います。

今は行かないかもしれない、これからも行けないかもしれない。
だけど、いつか行く日が来るかもしれない、そんな希望を持つことすら許されない人生はあまりに貧しくやりきれない。

いつか来る未来の為に、或いはそれを夢見て自らを慰め、励ます為に学習し、知識を蓄え、歌を覚え、口ずさむことがどうして無駄なのか。

門前の小僧が習わぬ経を唱え、都からはるか離れた貧しい寒村の字も読めない百姓娘が、年に一度回って来る浄瑠璃一行の音曲を毎年一節ずつ耳だけで聞き覚え、やがて一座と遜色ないほどに通しで歌う事が出来るようになっていたように、

梨園名家の血統のように選ばれた素質と環境は勿論だが、市井にあっても本人のたゆまぬ努力と継続がやがて大きな成果を結び、それがどのような形(芸能という形でなくとも)で発揮されるかは誰にも分からない。

何より、上達の結果云々よりも、人前で披露出来るほどに継続して努力できる、その才能こそが万事に通用する優れた能力ではないでしょうか。

「何故、勉強しないといけないの」
「学校に行かないといけないの」

そう問う子供の何故に対し、「いい学校に入っていい会社に入る為」「お友達を大勢作る為」という成果主義だけでなく、(まあ、低学年向けにはこういう返答になりがちですが)

もっと深い話や議論ができる大人でありたいと願うのです。
金の亡者でしかないがな(黒笑)

お金大好きだぞー
会社員時代は給料貰う度に通帳の残高が増えるのが嬉しかったバブル全盛期(遠い目…)

同居後は専業主婦になったので収入ゼロでしたが、実父の末期ガン発覚後は病棟泊まり込み付き添いがあったりして、あっという間に20万消えたよ。

だから、こちらの爺さまが2009に入院した時、義姉上が自分もできるだけ来るようにするからって仰ってくださったんですが、自分の経験から交通費や自分の飲食費等で20万くらいあっという間になくなりますから、無理のない範囲で〜って言ったんですよ。

そしたら、そういう時はダンナさんのお金使うもんなんですってね。
いや、ワタシ、自分の実家への出費は盆暮れの帰省土産買うのも基本自分持ちでしてましたので、ちょっと吃驚。

え、じゃあ、義姉上は爺婆さまへのプレゼント買うの、ダンナさんのお金で買ってたんですかー?って、ちょっと目からウロコでしたわ。







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  • 育児に限らず

    1. 2018/04/17(火)
    こちらのマンガ↓を教えて頂きました。

    巻子さん

    育児マンガなんですけどね。
    リンクしたら2段同じ絵が出てくるんですけど、上段のは最後のコマが切れてますので、下段の方をお読みください。肝心の、ダンナさんエライ!!部分です。
    だって、「お疲れ様」「毎日大変だね」と口先では言いながら、帰宅したらどっかり座って動かないとか、具合が悪いなら食事簡単で良いよとか、明日の弁当簡単で良いからとかいう人あるある(自分で作るとか、外で買うっつー選択肢は無いのかよっっ!!!…無いのよねー…)



    基幹系 24時間 深夜土日 に思わず泣き笑い。
    しかも、育児は7年経てば普通小学校入学というレベルアップですが、介護は7年経っても良くて横バイ、殆ど下降、下手すりゃ重度化。

    でも、育児に限らず、家事全般とか介護とかサービス業、保守、営繕系。
    何かを作る、収益が上がるといった、目に見えて、数字で分かる成果以外にも重要な仕事って実は世の中に沢山あって、

    そう言う地味な仕事こそが実質的に安全で衛生的で良識があって公正な世の中を回して居るんだけれど、その価値は「仕事だから当然」と評価を落とされ易い。

    「何事も起こらない」を維持するという仕事はもっと評価されるべきというご意見には大いに同意。

    「仕事ですから」(「シン・ゴジラ」財前統合幕僚長)は超カコ良いけど、
    「仕事だろ?」は使用する人間のポジション次第では凄く意地悪に聞こえるわー


    謙虚と感謝って大事よね。



    私信: 拍手からコメくださったKさま 有難うございます。こちらこそ五体投地の勢いで、感謝して居ます。仰る通り、テケトーに頑張ります。






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  • 事実は小説より奇なり

    1. 2018/04/17(火)
    鹿児島5人殺害
    兵庫長男檻監禁?に驚いてたら、

    愛媛受刑者脱走に
    早よ出てこんと、あんた罪が重くなるだけや
    滋賀警官射殺と来て、
    もう、何故?どうして?という思いばかりです
    被害警官の家族はもとより、加害側の親御さんの大変でしょう
    どれだけ耐え難いことがあったって、殴りつけて「やってられるか!」って怒鳴ってクビになる手もあったのに、ホルスターカバー外して、安全装置外して、照準定めて、引き金引くって、もうそれしたらおしまいですやん。

    トドメが(いや、ワタシ的にですが)

    中学女子の1,000万円盗難 ですよ。

    ・自宅の、しかもリビングで遊びに来た他所の子供が分かってしまうような場所に1000万置いている家
    ・それを盗み出し、持ち帰る子供
    ・子供部屋にあった1000万入りトートバックに驚いて、警察に通報&バックを取り上げて保管したまでは良いが、子供が取り返せてしまうところに1000万置いてしまう親
    ・取り返したそれをあろうことか友人10人に数十万~100万ずつ(おそらくトータル数百万、1000万のうちの大部分)を配ってしまう子供
    ・平気で受け取って使いまくった友人(友人なのかー?)

    もーどいつもこいつもツッコミどころ大杉。
    唯一マトモだったのが、驚いて通報した盗んだ中学女子の親だけど、あっさり取り返される脇の甘さ(汗)

    一体どーなってる。






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  • 業突く張りの言い分

    1. 2018/04/17(火)
    連日熱いご意見を賜り、誠に有難うございます。

    いちおー、身バレ警戒して(モロバレてるっつー噂もあるが)、

    多少フェイクかけたり、濁してる部分もございますが、

    裏(拍手コメは非公開)からご質問というかご進言いただきました一点について、

    >いずれ、家土地はPOTEさんのものになるんですから、もうちょっと辛抱して、卒なくこなす方が得策ではないですか

    これねー。
    うちの婆さまあたりも同様に思ってるみたいなんですがー。

    爺さま逝去時の相続において、どの書類にもワタシと義兄氏の名前はありませんでした。
    特段の書面による指示がない(土地登記人として連名になってるとか)以上、相続はあくまで直系間でのみ執り行われます。祭祀継承の義務もな(笑)


    で、だけど、じゃっくさんの配偶者としても権利があるだろうといわれますが、

    そりゃ、じゃっくさんの銀行貯金はワタシとの共同財産ですから、そこに兄弟は絡んで来ません。

    しかし、じゃっくさんとワタクシには子供がおりませんので、じゃっくさんが先に亡くなった場合、今の家土地は3/4はワタシですが、1/4は義姉が相続します。

    余分な山持ってたり、収入住宅が複数ある訳じゃないので、今の家土地の1/4取られるのは決して小さい金額の話ではございません。
    住んでいる家の1/4削るのも減築、造成という大掛かりな工事つまり費用が発生しますし、
    じゃあ、家土地には手をつけない代わりにお金でということになれば、それ相応の現金支出となります。

    しかも、ワタシが死んだら3/4の家土地は義姉とその子供である甥姪が相続します。
    まあ、POTE村の代々の家土地ですから、うっかりワタシの名義にしてワタシの実家の所有になるのは嫌だというのは当然ですが。

    ですから、家土地の無い借家暮らしの人だって幾らでも居るんだから、削られたって3/4も堂々と貰えるんだからそんな文句言わずに良い嫁演じていれば〜と言われましても、

    結局、親の介護もしないで、がっぽり相続出来る人が居て、
    さも孝行娘らしく足しげく訪問され、宴会で客として飲み食いしておられる
    とゆー現状がですねー、


    やっぱり、不愉快なんですのよー。
    ((ヾ(≧皿≦;)ノ_))きぃぃぃぃっ!





    あの子は欲張りでもないし、気立てのいい優しい良い子なんだよ、それを何で「いつか追い出される」とか「一文無しになる」とか言うの と婆さまは憤慨されますが、

    義姉の性質が云々より、日本国の法律が実子に篤く働く現状では、ワタシの晩年を保証してくれるものは何も有りません。
    義姉は別に自分から動かずとも、黙っていれば法律がそちらの懐にがっぽり家土地を運んで来ます。

    唯一の対抗策は義姉の権利放棄(ヾノ・∀・`)ナイナイ
    或いはじゃっくさんの遺言状(いや、家土地相続すっと色々面倒なんで、死ぬまで平穏に暮らしたいだけですが)
    (「何れ、書く」っていってるけど、まだ書いてないし)(多分、書かないで死にそう)(そうなったら死ぬ気でバトルだわ)

    うーん、勝算ゼロの死闘になるなー。
    でも、あちらのいいように丸裸で放り出されてなるものか。



    ワタシの同居と在宅介護の労働が「家族だから無報酬」、
    その一方で「相続は他人だから無関係」って言われてもそれは断固承服しかねます。

    在宅介護実績と同居の資産価値認定の法案 早う。






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  • 今日はこれから(追記有り)

    1. 2018/04/16(月)
    ばばさまデイに出発後、10:00に梅の花大学病院(仮名)受診受付。

    忙しい。


    お陰様で、前回1月受診時の検査結果も問題無く、

    今回も細胞診とエコー診、採血して終了。

    次回は7月。






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